航空図の読み方入門|訓練生が最初に確認したい情報
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Q1.誘導路・駐機場・ホットスポットなど、空港内の地上走行を詳しく確認したい。主に使う図は?
答え:飛行場図
飛行場図は、滑走路、誘導路、駐機場など、地上走行に必要な詳細を確認する図です。図は用途に応じて使い分けます。
Q2.VFRの目視位置確認で、地上物標をどう使う?
答え:複数の特徴を組み合わせ、航空図と景色を照合する
物標の見え方は季節や視程などで変わります。一つに頼らず複数の特徴を照合します。
この2問だけで理解全体や実技能力は判定できません。実際の運航判断には使わず、本文の前提・例外も確認してください。
航空図を初めて見ると、飛行場、空域、航法援助施設、地形、障害物など、多くの記号や数字が一枚に詰め込まれているように感じます。
すべての記号を最初から暗記しようとすると、かえって「実際のフライトで何を確認すればよいのか」が分かりにくくなります。
航空図を読むときに大切なのは、まず今回のフライトに関係する情報を順番に取り出し、それぞれを飛行計画へ結びつけることです。
この記事では、基礎訓練中のパイロット訓練生に向けて、航空図を読むときの基本的な順序と、最初に確認したい情報を解説します。
本記事は航空図の読み方を学ぶための一般的な解説です。実際の飛行では、必ず有効な最新版の航空図、AIP各国が発行する航空路誌。運航に必要な恒久的な施設・空域・手続きなどの情報を収録する。利用時は改訂と補足版、関連するNOTAMも確認する。、NOTAM航空施設、業務、手順や危険について、運航に関わる人へ速やかに知らせる情報。航空路誌の改訂や補足版では間に合わない変更などを伝え、有効時間と対象の確認が重要。などの公式航空情報、所属組織の規程及び教官の指示を使用してください。
航空図とは
航空図は、航空機の飛行に必要な地理情報と航空情報を、定められた記号や色、線、数字によって表した図です。
一般的な地図にも地形、道路、都市などが描かれていますが、航空図にはさらに次のような情報が含まれます。
- 飛行場とヘリポート
- 管制空域及びその他の空域
- 航法援助施設
- 航空路や経路
- 位置通報点
- 周波数
- 地形の標高
- 鉄塔などの障害物
- 飛行上の注意が必要な区域
航空図は単に現在位置を確認するための地図ではありません。飛行前の計画、飛行中の航法、空域の把握、地形や障害物の回避などに使用する運航資料です。
航空図には複数の種類がある
航空図は、すべての用途を一枚でカバーするものではありません。飛行方式や飛行段階に応じて異なる種類の図が使われます。
VFR用の航空図
有視界飛行に必要な飛行場、空域、地形、障害物、航法援助施設、目視位置確認に利用できる地上物標などが示されます。
エンルートチャート
経路上の航空路、航法援助施設、フィックス、空域、最低高度など、主として巡航区間の飛行に必要な情報が示されます。
出発・到着・進入用のチャート
標準計器出発方式、標準到着経路、計器進入方式など、それぞれの飛行方式に必要な経路、高度、周波数、最低気象条件などが示されます。
飛行場図
滑走路、誘導路、駐機場、標高、灯火、ホットスポットなど、飛行場内の地上走行に必要な情報が示されます。
最初に「今見ている図は、どの飛行方式と飛行段階のためのものか」を確認することが重要です。
最初に図の有効性を確認する
航空図を開いたら、記号を読む前に次の項目を確認します。
- 図の名称
- 対象となる地域
- 版または発行番号
- 発効日及び有効期間
- 縮尺
- 単位
- 凡例
航空情報は、空域、周波数、施設、飛行方式などの変更によって更新されます。
以前の訓練で使用した航空図や、インターネット検索で見つけた画像が、現在も有効とは限りません。
FAAの航空図利用者向け資料でも、航空情報は速やかに変化するため、図の発効日を確認し、最新版とNOTAMを使用することの重要性が示されています。
縮尺を確認する
縮尺は、航空図上の長さと実際の距離の関係を表します。
縮尺が異なれば、同じ長さに見える線でも、実際の距離は変わります。
飛行経路の距離を測るときは、使用している航空図の縮尺と、指定された距離目盛りを確認します。
画面上で航空図を拡大・縮小した場合、定規を画面へ直接当てても正しい距離にならないことがあります。電子航空図では、使用するアプリケーションの距離計測機能や正式な手順を使用してください。
方位と緯度・経度を確認する
航空図では、地理的な位置を緯度と経度で表します。
- 緯度:赤道を基準とした南北方向の位置
- 経度:基準となる子午線からの東西方向の位置
また、航法では真方位と磁方位の違いを意識する必要があります。
航空図上には磁気偏差に関係する情報が示されることがありますが、表示方法は図の種類や国によって異なります。
経路や針路を求める場合は、使用する図の基準、機上で使用する方位、風による偏流修正などを混同しないようにします。
出発地と目的地を探す
航空図を読むときは、まず出発飛行場と目的飛行場を見つけます。
飛行場について確認したい主な情報は次のとおりです。
- 飛行場の名称及び地点略号
- 飛行場の位置
- 標高
- 滑走路の配置とおおよその方位
- 管制飛行場か非管制飛行場か
- 利用可能な周波数
- 使用できる航法援助施設
ただし、一枚の航空図に飛行場の全情報が記載されているとは限りません。
滑走路長、運用時間、詳細な周波数、ローカルルールなどは、飛行場図やAIP、所属組織の資料なども使って確認します。
飛行経路を線として捉える
出発地と目的地を確認したら、予定する経路を航空図上でたどります。
単に2地点を直線で結ぶのではなく、経路上にどのような要素があるかを確認します。
- 管制空域や制限のある空域
- 高い地形
- 鉄塔などの障害物
- 飛行場及び交通量の多い区域
- 航法援助施設
- 目視で識別しやすい地上物標
- 位置通報に使える地点
- 天候が悪化した場合の代替飛行場
航空図を「点の集まり」として見るのではなく、飛行機が移動する一本の流れとして読むことが重要です。
空域を確認する
航空図を読むうえで、空域の確認は特に重要です。
空域は、境界線、色、線の種類、数字、略号などによって表されます。
確認する内容には次のようなものがあります。
- 空域の名称及び種類
- 水平範囲
- 上限及び下限
- 適用される飛行規則
- 管制機関及び周波数
- 通過に必要な許可や手順
- 運用される時間帯
境界線だけを見て「この空域の中にいる」と判断するのではなく、自機の高度がその空域の上下限に含まれるかまで確認します。
また、図上で隣接して見える空域でも、高度によって構造が異なる場合があります。
高度の基準を区別する
航空図には、多くの高度や標高が記載されています。
- 飛行場標高
- 地形の標高
- 障害物の頂部標高
- 障害物自体の高さ
- 空域の上限と下限
- 経路や飛行方式に関係する高度
数字を見つけたら、すぐに高度として使用するのではなく、何を基準にした数字なのかを確認します。
平均海面からの高度なのか、地表や飛行場標高からの高さなのかによって意味が異なります。
数字の色、配置、括弧の有無などにも意味があるため、分からない場合は必ずその航空図の凡例を確認してください。
地形と障害物を確認する
山岳、丘陵、鉄塔、煙突などは、飛行経路や高度の選択に影響します。
地形や障害物については、次の点を確認します。
- 経路周辺で最も高い地形
- 経路付近の高い障害物
- 地形に対する高度の余裕
- 雲底や視程が低下した場合の影響
- 不時着場所の選択に影響する地形
経路の中心線だけでなく、その周辺にも目を向けます。
風による偏流、経路変更、雲の回避などによって、計画した線から外れる可能性があるためです。
航法援助施設と位置通報点を確認する
航空図には、VOR地上局からVHF帯の信号を送り、局から見た磁方位を航空機側で知るための無線航法施設。局を基準にした方位の把握や、選んだコースの飛行に使う。、DMEなどの航法援助施設や、経路を構成する位置通報点が示されます。
航法援助施設については、次のような情報を確認します。
- 施設名及び識別符号
- 周波数
- 位置
- 利用できる距離や高度に関する制限
- 整備または停止に関する情報
航空図に記載されていても、NOTAMによって一時的に利用できない可能性があります。
また、電子航法装置に同じ名称が表示されていても、正しい地点を選択しているとは限りません。名称、識別符号、位置などを照合する習慣が必要です。
周波数を整理する
飛行前に、使用する可能性のある周波数を飛行の順番に並べます。
- 出発飛行場の地上管制及び飛行場管制
- 出発後に交信する管制機関
- 訓練空域で使用する周波数
- 飛行情報業務に関係する周波数
- 目的飛行場の進入管制及び飛行場管制
ただし、航空図に記載された情報だけで完結させず、AIP、飛行場資料、NOTAMなどで最新性を確認します。
周波数を経路順に並べておくと、飛行中に次の交信先を予測しやすくなります。
目視位置確認に使う物標を選ぶ
有視界飛行では、航空図上の地上物標と実際の景色を照合して位置を確認します。
チェックポイントには、次のような識別しやすい物標が向いています。
- 海岸線や大きな河川
- 湖
- 高速道路や大きな道路の交差
- 鉄道路線
- 市街地
- 特徴的な山や岬
- 飛行場
一つの物標だけに頼るのではなく、複数の特徴を組み合わせて位置を確認します。
また、季節、天候、太陽の方向、視程によって、地上物標の見え方は変わります。航空図上で目立つものが、空中からも必ず見つけやすいとは限りません。
航空図とNOTAMを組み合わせる
航空図は、発行時点で整理された航空情報を示します。一方、発行後に生じた一時的または緊急性の高い変更は、航空図へすぐ反映されない場合があります。
そのため、実際の飛行前にはNOTAMなどの最新情報を確認します。
- 滑走路や誘導路の閉鎖
- 航法援助施設の停止
- 周波数や運用の変更
- 一時的な空域制限
- 新しい障害物
- 航空図に関する訂正情報
航空図が最新版であることと、最新の変更が存在しないことは同じではありません。
電子航空図を使うときの注意点
タブレットやEFBでは、現在位置、経路、気象情報などを航空図へ重ねて表示できる場合があります。
便利である一方、次の点に注意が必要です。
- データが最新版か
- 表示しているレイヤーが正しいか
- 拡大率によって重要な情報が隠れていないか
- 端末の電池残量は十分か
- 過熱や故障時の代替手段があるか
- 現在位置表示を過信していないか
画面に経路を表示できることと、航空図の内容を理解していることは別です。
自動表示がなくても、空域、地形、経路、代替飛行場を説明できるようにしておくことが大切です。
一枚から計画メモへ:架空の経路図を読んでみる
ここでは、図の記号を一つずつ覚える前に、どの資料が有効か、経路に何が関係するか、何を追加確認するかを整理します。下の図・名称・日時・情報はすべて本記事独自の架空教材です。実在の航空図やNOTAMではなく、飛行には使用できません。実際の記号、色、縮尺、必要な安全間隔は再現していません。
問題の条件
練習上の出発は2026年10月25日09:00 UTC、目的地への到着予定は09:30 UTCです。以下の時刻はすべてUTC。北を上にした位置関係だけの図で、線の長さから距離や時間は計算できません。
| 西側 | 中央 | 東側 |
|---|---|---|
| 北側の地形:丘陵 | 北側の区域X 空域詳細は別紙 |
北東側の地形:高地 |
| 出発:あおば飛行場 経路は右へ → |
確認点:川と鉄道橋 経路は右へ → |
目的地:みなと飛行場 |
| 南側の地形:平地 | 南側:大きな湖 川とは別の物標 |
南東側:こはる飛行場 代替候補、適合性は未確認 |
この図の凡例:矢印は計画している移動の順番だけを示します。「区域X」は詳細確認が必要な空域の目印です。図上の経路から外れて描いてあっても、実際の水平距離や上下限、適用条件は分かりません。飛行場名があることも、利用可能という保証ではありません。
手元にある資料を照合する
| 資料 | 書かれていること |
|---|---|
| 保存画像A | 発効日2026年9月17日。次の版の発効日2026年10月15日。 |
| 教材図B | 発効日2026年10月15日。次の版の発効日2026年11月12日。上の見取り図はこの版を読む練習用。 |
| 変更情報C | みなと飛行場の唯一の滑走路が、2026年10月25日09:00〜10:00 UTCに閉鎖する予定。 |
| 不足している資料 | 各飛行場の詳細、区域Xの範囲・上下限・適用条件、当日の気象、機体性能と燃料計画。 |
まず自分で答える4問
- 予定日の計画に、保存画像Aと教材図Bのどちらを選びますか。それだけで最新情報の確認は終わりますか。
- 「図には滑走路があるので、09:30にみなと飛行場へ着陸する」と計画を確定できますか。
- 中央の確認点を探すとき、「水が見えた」だけで川に到達したと判断してよいでしょうか。
- 区域Xが経路の北、代替候補が南東に描かれていれば、空域と代替計画の確認は済みますか。
解答:読めた情報と、まだ足りない情報を分ける
- この練習ではBを選びます。10月25日はBの発効後、次の版の発効前です。Aはすでに次の版へ切り替わっています。ただし、有効な版を選ぶ作業と、その後の変更情報を確認する作業は別です。BとCを組み合わせ、実際には関係する最新の訂正・航空情報も確認します。
- 確定できません。到着予定の09:30は、教材の閉鎖時間に含まれます。この予定は変更が必要です。閉鎖予定の終了だけを頼りに到着を遅らせるのではなく、最新の利用可能性を確認したうえで、出発時刻・目的地・訓練の延期などを再検討します。変更後の気象や燃料も再評価が必要です。
- 水面だけでは区別できません。図には南側の湖もあります。川の形に加えて鉄道橋や周辺との位置関係を照合します。この図は観察の組合せを学ぶもので、実際の視認性は示していません。
- まだ確認が残ります。区域Xは詳細資料で水平・垂直範囲、時間、必要な手続を調べ、予定経路・高度と照合します。こはる飛行場も、運用・滑走路・気象・性能・燃料などが未確認なので、使える代替先とはまだ言えません。
記入済みの計画メモにすると、「使用図はB。Cにより09:30到着案は再検討。位置確認は川+鉄道橋。区域Xの詳細と代替候補の適合性が未確認」となります。この演習の答えは飛行可否の判定ではなく、何が計画を変え、何の資料が不足しているかを言えることです。
次は、数字の基準と障害物の計算を空港記号・障害物・標高の読み方で、空域の上下方向を空域の基本で練習できます。この記事では、詳細に入る前の資料選びと全体の照合を担当します。
原則の参考:FAA Aeronautical Chart Users’ Guideの「KEEP YOUR CHARTS CURRENT」は、図の発効日と版の切替え、版の間に生じる重要な変更の確認を説明しています。ここで用いた架空の地図・日時はFAA資料の転載ではありません。FAAの図式や米国の手続を日本へ直接適用せず、実運航では最新のAIP Japan、適用法令・航空情報、機体資料、運航者の手順と教官の指導に従ってください。
訓練前に使える確認手順
航空図は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 図の種類、名称、発効日を確認する
- 縮尺、方位、単位、凡例を確認する
- 出発飛行場と目的飛行場を探す
- 予定経路を線としてたどる
- 経路に関係する空域と高度を確認する
- 地形及び障害物を確認する
- 航法援助施設とチェックポイントを選ぶ
- 使用する周波数を経路順に並べる
- 代替飛行場や経路変更の選択肢を確認する
- AIP及びNOTAMで最新情報を補う
最初は時間がかかっても、毎回同じ順序で確認することで、見落としを減らせます。
よくある間違い
記号の意味だけを暗記する
記号を知っていても、それが今回の経路や高度にどう影響するかを説明できなければ、飛行計画には十分活用できません。
古い航空図や検索画像を使う
学習用の画像や以前保存した航空図は、現在の運航情報と異なる可能性があります。実際の飛行には使用しないでください。
経路の中心線しか見ない
天候回避、偏流、管制指示などによって計画経路から外れる可能性があります。経路周辺にも確認範囲を広げます。
空域の境界だけを見る
空域には水平範囲だけでなく、上限、下限、適用時間、運用条件があります。自機の予定高度と組み合わせて確認します。
電子航空図の現在位置を過信する
位置情報や表示には誤差、遅延、設定間違い、機器故障などの可能性があります。ほかの航法手段と照合します。
まとめ
航空図を読む目的は、すべての記号を暗記することではありません。
- 最初に図の種類と有効性を確認する
- 出発地から目的地までを一本の流れとして見る
- 空域は水平範囲と高度を組み合わせて確認する
- 地形と障害物は経路周辺まで確認する
- 飛行場、航法援助施設、周波数を整理する
- 航空図だけでなくAIP及びNOTAMを併用する
- 電子表示を過信せず、情報の意味を理解する
航空図上の情報を「自分がいつ、どこで、どのように使うか」という視点で追っていくと、多くの記号が飛行計画の一部としてつながって見えるようになります。
参考資料
- FAA「Aeronautical Chart Users’ Guide」
- FAA「Aeronautical Data and Products」
- FAA「Aeronautical Information Manual」