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Q1.磁針路MHが320°、ADFの相対方位RBが070°のとき、局への磁方位は?

答え:030°

局への磁方位はMH+RBなので、320+70=390°です。一周分の360°を引くと030°になります。

本文で確認:3.磁方位は磁針路と相対方位を足す

Q2.横風中、ADFの針を常に機首方向へ向けるホーミングを続けると、対地経路はどうなり得る?

答え:風で流され、そのつど局へ向き直すため風下側へ曲がる

針が正面にあることと、予定の対地経路上にいることは別です。トラッキングでは風を考慮した針路で経路を保ちます。

本文で確認:5.ホーミングとトラッキングを分ける

この2問だけで理解全体や実技能力は判定できません。実際の運航判断には使わず、本文の前提・例外も確認してください。


ADFの針が右を向いたとき、分かるのは「局が機首の右側にある」という関係です。それだけで局が東にあるとはいえません。機首が北を向いているのか、南を向いているのかで、地図上の方向は変わるからです。ADFは、機首基準の相対方位と、北を基準とする方位を分けて考えるよい教材になります。

この記事は表示の読み方と風の影響を学ぶ基礎解説です。実際の施設の有無・運用状態、装備要件、飛行方式は最新の・とチャートで確認し、操作はAFM・POHや装置の手順に従ってください。米国FAAの資料は原理説明に使用し、日本の運用規則を示すものではありません。

1.NDBは地上局、ADFは機上側の装置

NDBはNondirectional Radio Beacon、無指向性無線標識です。局が送る電波を機上で受信し、その到来方向を求める装置がADF、Automatic Direction Finderです。「NDBが針を動かす」と大まかに言えても、地上の送信設備と機上の受信・表示設備は別の役割を持ちます。

NDB自体が、のように機体が何度の上にいるかを直接符号化して知らせる仕組みではありません。ADFが示す局への方向と、機体の方位情報を組み合わせて位置関係を理解します。局への方位が分かっても、その方位線のどの場所にいるか、何NM離れているかまでは、単独の針から決まりません。

この点は、VORのFROM・TOとラジアルを学んだ後ほど意識したいところです。見た目が似た針でも、どの装置から何の情報を受けているかを確認してから読みます。

2.相対方位は機首から時計回りに測る

相対方位(RB)は、機首を0°として、局の方向まで時計回りに測った角度です。090°なら右、180°なら後方、270°なら左になります。330°は「右へ330°」ですが、位置を思い浮かべると「機首の左30°」と同じ方向です。

固定カード型の表示器は、上がいつも0°または360°です。この上側は、その機体にとっての前方であり、常に地理的な北を意味するわけではありません。目盛りにNなどが描かれていても、固定カードを方位計と同じように読むと誤解が生まれます。

機首を変えると、機体の位置がほとんど変わっていない短い間でも相対方位は変わります。針の変化には「飛んで位置が変わった影響」と「機首の向きが変わった影響」の両方があり、針だけを追いかけると位置関係を見失いやすくなります。

3.磁方位は磁針路と相対方位を足す

機体の磁針路(MH)と相対方位が分かれば、局へ向かう磁方位(MB to)は「MH+RB」を360°の範囲へ直して求められます。ここで足すのは機首の磁針路であり、風でずれた対地進路ではありません。磁北基準と真北基準も混ぜないようにします。

例えばMHが070°、RBが040°なら、局への磁方位は110°です。MHが300°、RBが100°なら400°となるため、360°を引いて040°です。360°を一周として扱うだけなので、数字の大小に惑わされず、まず機体の右・左・前・後のどこに局があるかを描くと確かめやすくなります。

磁北を出発点に

機首まで 300°
磁針路 MH

機首を出発点に

局まで時計回り 100°
相対方位 RB

局への磁方位

400° − 360° = 040°
磁北から測った方向

図1:二つの角度の基準点をつないだ独自の計算図。機首基準の100°を、磁北基準の040°へ読み替えます。飛ぶべき針路や距離を決定する図ではありません。

局から機体への逆向きの磁方位(MB from)を求める平面上の学習問題では、局への磁方位に180°を加減します。上の040°なら220°です。「局へ」と「局から」の文字を数字と一緒に書けば、計算は合っているのに向きだけ逆というミスを減らせます。

4.カードが回る表示でも情報源を確認する

可動カード型では、操縦者が現在の磁針路を上側に合わせることで、針の先を磁方位として読めます。ただし機首を変えた後にカードを更新しなければ、古い針路を基準にした読みになります。表示が便利になっても、基準を合わせる責任が消えるわけではありません。

RMIなどでは方位カードが自動的に回り、局への磁方位を読みやすくしています。しかし、カードの方位情報と針の航法信号は別の情報源です。方位系統に誤りがあれば、局への相対的な方向を受信できていても、磁方位としての読みはずれる可能性があります。

同じ表示器にADFとVORの針が出せる場合は、針の形だけで記憶せず、選択されている信号源、局の識別、方位系統の状態を確認します。ジャイロ・AHRSの学習も、表示全体を一つの独立したセンサーだと思わないために役立ちます。

5.ホーミングとトラッキングを分ける

ホーミングは、局への針を常に機首方向へ向けるように飛ぶ考え方です。無風の理想条件なら局へ直線的に近づけますが、横風があると機体は流されます。そのたびに局へ機首を向け直すため、対地経路は風下側へ曲がり、最初に意図した直線から外れることがあります。

トラッキングは、風を考慮した針路を取って、予定した対地経路を保つ考え方です。局へ向かう対地経路が090°でも、横風を打ち消すために機首を080°へ向けているなら、理想的に経路上にあるときの局は機首の右10°、すなわちRB 010°に見えます。

このとき針を0°へ戻すことを目標にすると、せっかくの風向修正を取り除いてしまいます。「針が真っすぐ前を指すこと」と「正しい対地経路上にいること」は別です。具体的な修正角やインターセプト方法は訓練と所定の手順で学び、ここでは風の三角形との関係を押さえましょう。

6.局に近づくほど針の動きが大きくなる

局に対する横方向の位置のずれが同じでも、近いほど方位の角度変化は大きくなります。平面上の例で、予定線から0.1 NM横へずれ、局まで線に沿って10 NM残っていれば、方位差はarctan(0.1÷10)で約0.57°です。残り1 NMなら約5.71°となります。

距離が10分の1になると、同じ横ずれがはるかに大きな針の動きになります。局付近の針を大きな旋回で追い続ける前に、機体の位置、通過の予測、受信状態を合わせて考える必要があります。ただし、針の変化がすべて局への接近を意味するわけではありません。

また、RB 090°という表示だけで「局上を通過した」とは断定できません。単純には局が機首の右側にあることを示しており、飛行経路との関係は別に確認が必要です。距離も分からないため、何NM右にあるかまでは針から読めません。

7.安定した針でも正しいとは限らない

FAA は、雷や降水による静電気、夜間の遠方局の干渉などがADFに誤った方位を生じさせると説明しています。乱れた針なら疑いやすい一方、誤った方向で安定する可能性もあるため、「針が止まったから正しい」という判断はできません。

識別信号の確認は、単に周波数の入力ミスを見つける作業ではありません。期待する局の信号を確かに受信しているか、異常な雑音や識別の変化がないかを確認する意味があります。古典的なADFでは、誤方位を確実に知らせる警告旗に頼れない点も理解しておきます。

教材やシミュレーターでは常に理想的な針が出ることがあります。実機の学習では、施設の運用状態や装置の正常性を確かめたうえで他の情報と照合する、という前提を抜かさないことが重要です。

計算練習では、答えを出した後に簡単な機体記号と局を描き直してみてください。磁方位の足し算が正しくても、針の先と尾を逆に読んだり、真方位の値を混ぜたりすれば位置の説明は成立しません。数式と位置図の二通りで確かめると、どの段階で基準がずれたかを見つけやすくなります。

理解度チェック

  1. MH 250°、RB 140°なら局への磁方位は?
    答え:250+140=390°、一周分を引いて030°です。局から機体への逆向きは210°になります。
  2. 局への対地経路が090°、風向修正後のMHが080°。理想的に経路上ならRBは?
    答え:010°です。針が右10°でも、対地経路を維持できる条件があります。
  3. 針が安定していれば、局の識別を省略できる?
    答え:できません。誤った信号や干渉でも安定した表示となり得るため、識別と他の情報による確認が必要です。

参考資料