VORインターセプトの考え方|目標ラジアルに乗って維持するまで
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Q1.VORインターセプトで、コース線へ乗る段階と乗った後の違いは?
答え:乗るには線と交わる方向、維持には線に沿い風を修正する
線へ到達するための交差と、到達後に線を維持することは別の課題です。
Q2.従来型VORのCDIで同じ偏位が示されても、局との距離が異なると横方向のずれは?
答え:異なる距離になり得る
CDIは角度の偏位です。同じ角度でも局から遠いほど、対応する横方向の距離は大きくなります。
この2問だけで理解全体や実技能力は判定できません。実際の運航判断には使わず、本文の前提・例外も確認してください。
VOR地上局からVHF帯の信号を送り、局から見た磁方位を航空機側で知るための無線航法施設。局を基準にした方位の把握や、選んだコースの飛行に使う。の表示を追うだけでラジアルVORなどの航法施設から外向きに延びる磁方位の線。機体が局のどちら側にいるかを表す基準で、同じ線上でも局へ向かう飛行と離れる飛行の両方がある。へ近づこうとすると、CDI選択したコースに対する左右のずれを示す航法表示。VORではOBSの設定とTO/FROM表示を合わせて読み、針が中央でも機首方位が正しいとは限らない。が動いてから慌てて旋回し、今度は反対側へ抜けてしまう。先に地図上で「今どちら側にいて、どの方向から線を横切るか」を決めると、計器の表示が読めるようになる。
まず目標を二つに分ける
インターセプトには、①目標のコース線へ乗る段階と、②その線を維持する段階がある。乗るにはコースと交わる方向へ飛ぶ必要がある。乗った後は、そのコースに沿う方位へ変え、風による流されを修正する。
前の記事で見たとおり、ラジアルは局から外向きに名付ける。090ラジアルをインバウンドで飛びたいなら、飛ぶ方向は概ね270°。まず「目標は090ラジアル」「通過後は西へ進む」を別々に言えるようにしよう。
ここで「090ラジアル」は局から見た線の名前、「OBS 270°」は選択したインバウンドコース、「機首方位」は機体が向いている方向だ。三つは同じ数字とは限らない。TO/FROMも選択コースと局の位置関係を示す表示で、機首が現に局へ向いていることを保証しない。
四段階で考える
- 現在位置:局に対して自機はどの方角か。選択したコースの左右どちらにいるか。
- 目標コース:どのラジアルを、TOとFROMのどちら向きで追うか。OBSVORの表示器で、基準にするコースを選ぶつまみ。CDIの針やTO/FROM表示と組み合わせて使い、選択した数値だけで機首の向きや進行方向は決まらない。と表示の整合を確かめる。
- 交差:現在のコースと目標線が交わる方位を選ぶ。交差角を大きくすれば線へ近づく速度は増すが、捕捉後の旋回が忙しくなる。
- 捕捉と維持:CDIが中央へ動くのを待つだけでなく、動く速さを見て目標コースへ旋回を始める。以後は風を見ながら修正する。
具体的な交差角や旋回開始時期を一律の数字で覚えるのは避けたい。対地速度、局との距離、風、表示の応答によって同じ角度でも余裕が違う。局に近いほど、同じ横方向の移動でもラジアルの角度変化は速くなる。
地図で追う二つの架空例
以下は平面上の理解用の作図だ。北を上、東を右とし、方位はすべて磁方位、風はなく機首方位と地上航跡が一致すると仮定する。局の上空通過前だけを扱い、表示は従来型のVOR指示器を想定する。図の線は縮尺ではなく、CDIの偏位量や局との距離を示さない。
例A:局の東側から090ラジアルへ
北↑ 東→
局●────×──→ 090R
↖ 300°
●A 100R
●A=開始点、×=目標線との交点。矢印は図の無風時の地上航跡。
Aは局の東南側、現在は100ラジアル付近にいる。目標は局から東へ延びる090ラジアルで、それを局へ向けて追う。したがって選択コースはOBS 270°、TO。Aから見て目標線は北側にあり、西向きの選択コースを基準にすると右側なので、CDIは右へ偏る。TO表示のままでも、線へ交わる例示の機首方位・地上航跡は300°であり、OBS値270°と一致しない。
図では300°の北西向きの航跡が、局の手前で090ラジアルへ交わる。CDIが中央へ近づけば、次は線を横切る段階から、その線に沿う段階へ考えを切り替える。無風の図なら維持する地上航跡は概ね270°。実際の旋回開始や操作量を300°・270°という数字から決めるものではない。
例B:局の西側から270ラジアルへ
北↑ 東→
270R ←──×────●局
↗ 060°
●B 260R
●B=開始点、×=目標線との交点。矢印は図の無風時の地上航跡。
Bは局の西南側、現在は260ラジアル付近にいる。目標は局から西へ延びる270ラジアルを局へ向けて追うことで、選択コースはOBS 090°、TO。目標線はBの北側だが、今度は東向きの選択コースを基準にすると左側なので、CDIは左へ偏る。図示した交差の機首方位・地上航跡は060°。局の手前で線に交わった後、無風なら維持する地上航跡は概ね090°となる。
二例とも自機は線の南側なのにCDIはAが右、Bが左だ。針の左右は地図の東西ではなく選択したコースの向きから見た目標線の側で読む。TO/FROMは選択コースとの関係を示し、図の300°や060°の機首方位を示していない。
「針に向かえばよい」が危ない場面
CDIの針は、適切にコースを設定してTO/FROMを確かめたときに意味を持つ。逆向きのコース選択では、針の読み方を誤りやすい。訓練では針だけを見る前に、紙の地図で自機・局・目標線を描こう。
上の二例は、進もうとする方向と整合するインバウンドのOBSを選んでいる。逆向きのOBSを選んで「針の逆へ飛ぶ」方法を標準手順として教える図ではない。CDIは角度の偏位を表し、同じ偏位でも局からの距離が違えば横方向の距離は変わる。針の動きだけから一律の海里数を割り出さない。
チェック問題:局の東側にいて、090ラジアル上から少し南へ外れた。090ラジアルを局へ向かって飛びたい。目標コースはどちら向きか。目標線へ戻るため、いったんコースの北側と南側のどちらへ向かう必要があるか。答えは「概ね西向きに進み、まず北側へ寄せる」。実際の機首方位は風などで変わる。
この問題ではOBS 270°・TOを選ぶと、南に外れた自機から目標線は選択コースの右側にある。CDIの左右を地図に照らす補助問題として使おう。
インターセプトは「計器を見て反応する課目」ではなく、空間内の線と自機の関係を維持する課目だ。
関連:VORのラジアルとは?FROM・TOとOBSを地図で理解する。位置とOBSを動かして表示を確かめる教材はリンク先で扱い、この記事の二つの地図は交差から維持への切り替えを読むために使う。
参考:FAA Aeronautical Information Manual, 1-1-3 VOR/FAA Pilot’s Handbook of Aeronautical Knowledge, Chapter 16: Navigation。二例の地図と数値はこれらの資料に載る特定飛行の再現ではなく、ラジアルの幾何を説明する架空の作図だ。
※図の方位は理解用の例であり、実機の操作値や旋回開始位置を指定するものではありません。実際の訓練では使用機のAFM/POH、承認済み手順、航空図と教官の指示を優先してください。