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Q1.ローカライザー(LOC)が基本的に示すのは?

答え:最終進入経路に対する左右のずれ

LOCは経路との位置関係を示します。横風修正で機首を風上へ向けていても、経路上なら中央付近になります。

本文で確認:1.LOCは左右、グライドスロープは上下を案内する

Q2.同じ3°の降下経路で対地速度が増えると、幾何学上必要な降下率は?

答え:大きくなる

同じ角度でも、1分間に進む水平距離が増えるほど、その間に失う高さも増えます。計算は操縦指示ではなく予測・照合用です。

本文で確認:4.計算例:3°経路で必要な降下率

この2問だけで理解全体や実技能力は判定できません。実際の運航判断には使わず、本文の前提・例外も確認してください。


ILSの表示を見て「左右と上下を中央に保つ」と覚えるだけでは、誤った信号や、降下を始めてはいけない場面を見落とします。大切なのは、針が何を測っているか、その情報を今使ってよいか、位置と高度がつじつまの合う組合せかを確認することです。

学習目標:LOCとグライドスロープの役割を区別する、下から捕捉する理由を説明する、対地速度から3°経路の降下率を概算する、ILS指示と進入継続条件を分けて考える、の4点です。電波受信の基礎は航空機の無線受信機と併せて確認できます。

本記事は原理を学ぶ教材であり、進入手順やチェックリストではありません。FAA資料は米国の制度・運用を説明しています。日本での飛行は、現行の Japan、適用法令、最新チャート・、承認されたAFM/POHと補足資料、運航者の手順、教官の指導に従ってください。

1.LOCは左右、グライドスロープは上下を案内する

ローカライザー(LOC)は、最終進入経路に対して左右のどちらへずれているかを示します。グライドスロープ(G/S)は、設定された降下経路に対する上下のずれを示します。両者は別の地上送信設備から届く情報です。LOCが使えても、G/Sが正常とは限りません。

LOCは「滑走路の方向を向いているか」を測る装置ではありません。機首が進入方位を向いていても横風で流されれば、経路から外れます。反対に、横風修正で機首を少し風上に向けても、地上の経路に沿っていればLOCは中央付近になります。表示が示すのは、基本的に経路との位置関係です。

G/Sも昇降計ではありません。同じ3°経路でも、速く前進すれば大きな降下率が必要です。なお、G/Sという略語は対地速度のGSと混同しやすいため、この記事では速度を「対地速度」、電波による上下案内を「G/S」と書き分けます。

上から見る:LOC

左へずれ ← 経路の中心 → 右へずれ
最終進入経路 → 滑走路

左右の位置を案内。機首方位そのものではありません。

横から見る:G/S

経路より上
↘ 公示された降下経路 ↘
経路より下
距離と高度も照合

上下の位置を案内。降下率そのものではありません。

図:2つの案内を分けた概念図です。電波の形状・縮尺・実際の計器配置は再現していません。

2.中央の針より先に、正しい情報源を確認する

同じ表示器でも、選択した航法源がGPSなのか、VOR/LOC受信機なのかで意味が変わります。進入を装置へ読み込んだだけで、表示が自動的に正しいILS信号へ切り替わるとは限りません。周波数、施設識別、進入方位、選択航法源、警告表示を、当該装置の方法で照合します。

一般的なフロントコースへの進入では、左右の偏位表示が右なら、経路は機体の右側にあります。G/S表示が上なら、経路は機体より上です。ただし、表示形態やバックコースでの挙動を含め、装置と使用方式の理解が必要です。「針の方向へ動かす」という記憶だけを、あらゆる表示へ適用しないでください。

ILSは角度に対応した案内なので、滑走路側へ近づくほど、同じ偏位目盛りに対応する実距離は小さくなります。遠方と同じ大きな修正を繰り返すと、中心をまたぐ振動につながります。中央へ戻った瞬間だけでなく、偏位の変化、姿勢、速度を合わせて読みます。

また、受信できることと使用が認められた範囲にいることは別です。使用停止のNOTAMがある施設は、もっともらしい指示や識別信号が出ていても使えるとは判断できません。

3.公示高度を守り、正常な経路を下から捕捉する

基本の訓練では、指定・公示された高度と位置を守り、正常なG/Sを下から捕捉します。「下から」とは、保護された所定の高度で飛び、接近してくる降下経路へ合流するという意味です。先に低く降りて待つことでも、捕捉後に経路の下側を飛び続けることでもありません。

G/Sには、公示された経路より高い角度で偽のコースが現れることがあります。偽信号は急な降下につながるだけでなく、信号の反転や自動操縦の捕捉特性によって予想外の姿勢変化につながる場合があります。警告が必ず出るとは限らず、「針が中央だから正常」とは言い切れません。

FAAのInstrument Flying Handbook補足Bは、上からの捕捉が偽G/S捕捉と不安定な進入のリスクを増すと説明しています。位置に対する高度が妥当かを照合するのは、針とは別の視点で経路を確かめるためです。上から急降下して針を追う方法を、本記事から自己流で作らないでください。

さらに、最終進入に入る前の早い段階でG/Sを追っても、途中の高度制限を自動的に満たすとは限りません。米国もこの点を注意しています。公示高度、管制指示、進入区間の違いを先に整理し、捕捉の表示だけを降下許可と考えないことが重要です。

4.計算例:3°経路で必要な降下率

水平な地面を基準にした直線の3°経路を考えます。1 NMを約6,076 ftとすると、水平に1 NM進む間の高度差は、6,076×tan 3°≒318 ftです。したがって降下率の大きさは、318×対地速度÷60で概算できます。ここで使うのはIASではなく、地面に対する前進速度です。

  • 対地速度90 kt:1分間に1.5 NM進むので、318×1.5≒477 ft/min。
  • 対地速度120 kt:1分間に2 NM進むので、318×2≒636 ft/min。
  • 簡便な「対地速度×5」なら450、600 ft/min。3°の計算値より約6%小さい目安です。

向かい風が弱まって対地速度が90 ktから120 ktへ増えた場合、同じ3°を保つための降下率は約477から636 ft/minへ増えます。風が変わっても降下率を固定すると、経路に対するずれが生まれる理由が分かります。速度の区別はIAS・TAS・GSの違いで復習できます。

これは予測やクロスチェック用の幾何計算です。算出した数字を優先して針を無視したり、飛行中に降下率だけを合わせたりするものではありません。実際の進入角、風、速度、飛行特性に応じて、承認された方法で経路を維持します。

また「1 NMにつき318 ft」をDME表示へ無条件に掛けて高度を決めるのも誤りです。DMEは地上局までの斜距離であり、滑走路末端までの水平距離とは限りません。局の位置、距離の基準、チャートの高度確認点、末端通過に関する情報を確認して初めて比較できます。

5.信号の監視と、進入を続ける判断は別に行う

ILS信号は地上の車両や航空機などの影響を受ける場合があります。急な偏位を見たときに大きな操舵で追いかけるのではなく、飛行状態と表示の有効性を評価します。自動操縦を使っていても、作動中・待機中のモード、偏位、速度、姿勢を監視する責任はなくなりません。

G/Sが使えなくなっても、LOCが残れば同じ最低値で進入できる、とは考えないでください。公示されたLOC方式の有無、最低値、必要装備、位置の把握、進入を組み直す余裕などの確認が必要です。機器故障を理由にその場で独自の進入方式へ変更することはできません。

DA/DHへ到達したことも、着陸してよいという自動的な許可ではありません。適用される視認物標、視程、正常な着陸ができる位置など、進入継続の条件を満たす必要があります。FAAの14 CFR 91.175も複数の条件を定めていますが、その米国の条文を日本の判断基準としてそのまま使わないでください。

必要条件を満たさない、または安定した進入を維持できない場合に備え、進入前から進入復行の経路と制限を確認します。詳しくは安定した進入とゴーアラウンドも参照してください。ILSは正しい条件で使う案内であり、着陸まで任せ切る保証ではありません。

6.理解度チェック:3問

  1. 機首が進入方位を向き、LOCが中央なら、今後も経路上を飛べますか?
    答え:保証できません。横風による流されや速度変化があります。LOCの傾向を読み、地上経路を維持するための修正が必要です。
  2. 3°経路を対地速度100 ktで飛ぶ場合、幾何計算上の降下率は?
    答え:318×100÷60≒530 ft/minです。×5の目安では500 ft/minとなり、どちらも操縦指示ではなく予測値です。
  3. G/Sが中央なら、公示された途中の高度制限とDA/DHでの判断を省略できますか?
    答え:できません。区間ごとの高度制限、信号の有効性、最低値と継続条件をそれぞれ確認します。

7.参考資料