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Q1.総燃料量に含まれる使用不能燃料は、燃料計画でどう扱う?

答え:使用可能燃料や予備燃料には数えない

規定条件でエンジンへの供給に利用できない量なので、計画の基準は使用可能燃料です。

本文で確認:1.総燃料量と使用可能燃料を分ける

Q2.出力・高度・TAS・時間当たり消費率が一定なら、向かい風で同じ区間の消費燃料が増える主な理由は?

答え:GSが下がり、所要時間が延びるため

一様な向かい風の効果は、地上距離を進む時間の増加として現れます。燃料消費量は消費率×時間です。

本文で確認:3.向かい風は「目的地までの時間」に効く

この2問だけで理解全体や実技能力は判定できません。実際の運航判断には使わず、本文の前提・例外も確認してください。


燃料計画を学ぶとき、最初に押さえたい関係は「燃料消費量=燃料消費率×時間」です。ただし、正しい掛け算ができても、使う燃料量、飛行時間、消費率の前提を取り違えると、計画全体がずれてしまいます。

この記事では、使用可能燃料、、飛行段階ごとの消費、予備燃料を順に整理します。数値はすべて計算練習用の架空条件です。実際の飛行計画や出発可否の判断には使用せず、当該機の承認されたAFM・の該当部分、適用法令、運航者の手順、教官の指導を優先してください。

1.総燃料量と使用可能燃料を分ける

タンクに入っている燃料のすべてを、飛行に使えるとは限りません。機体には、規定の条件でエンジンへの供給に利用できない「使用不能燃料(unusable fuel)」が設定されています。計画で基準にするのは「使用可能燃料(usable fuel)」です。

例えば、架空の機体で総容量が105 L、使用不能量が5 Lなら、満タン時の使用可能容量は100 Lです。ただし、「容量」はタンクの上限を示す値であり、その日に実際に搭載している量とは別です。燃料表示や給油記録が総量・使用可能量のどちらを表すかも確認します。

使用不能燃料を予備燃料に数えることはできません。また、燃料を増やせば重量も増えます。容量に収まるかだけでなく、重量・重心と離着陸性能を別途確認する必要があります。

2.燃料・時間・消費率の基本式

  • 消費量[L]=消費率[L/h]×時間[h]
  • 時間[h]=燃料量[L]÷消費率[L/h]
  • 時間[h]=距離[NM]÷対地速度[kt]

1 ktは1時間に1 NM進む速さです。時間を掛けるときは、分を時間に直します。例えば24 L/hで50分なら、24×(50÷60)=20 Lです。「1時間20分」を1.20 hとして扱ってはいけません。正しくは1+20÷60=約1.333 hです。

燃料にはL、US gal、kg、lbなどの単位があります。容量と質量を混ぜたり、種類の異なるガロンを同じものとして扱ったりしないことが大切です。容量から質量への換算が必要な場合は、対象の燃料と条件に適した密度を使います。

ここでいう消費率は、1時間当たりに使う燃料量です。実機の値は出力、高度、混合比、機体の状態などに左右されるため、機種名だけで一つの数値に決めず、使用する性能表の条件を読みます。

3.向かい風は「目的地までの時間」に効く

経路上の所要時間を求めるときに使う速度は、対気速度ではなく対地速度(GS)です。一定の出力・高度・真対気速度(TAS)を維持すると仮定した場合、向かい風は時間当たりの消費を直接増やすというより、同じ地上距離を進む時間を延ばします。その結果、区間全体の燃料消費が増えます。

架空の水平巡航区間を120 NM、TASを100 kt、消費率を24 L/hとします。風がなければGSは100 ktで、時間は1.2 h、燃料は28.8 Lです。進路に正対する20 ktの向かい風ならGSは80 ktとなり、1.5 h、36 Lになります。増加分は18分と7.2 Lです。

これは風が一定で、経路と巡航条件も変わらない比較です。横風がある場合は単純な引き算ではなく風の三角形でGSを求めます。上昇・降下の区間距離や経路変更を含む実際の計画とは分けて考えてください。往復飛行でも、向かい風と追い風の時間への影響が同じだけ相殺されるとは限りません。

4.飛行段階ごとに積み上げる

巡航時の消費率を、始動から停止まで一律に掛ける方法には限界があります。始動・地上走行、離陸・上昇、巡航、降下・進入では条件が変わります。性能表に上昇の燃料・時間・距離が示されていれば、その条件と補正方法に従って利用します。降下中も燃料消費をゼロとは置きません。

次は段階別計算だけを練習する架空例です。始動直前の使用可能燃料を100 Lとし、各段階の時間と平均消費率は以下のとおり与えられたものとします。段階間の重複はなく、待機や進路変更は含めません。

  • 始動・地上走行:10分、平均12 L/h → 2 L
  • 離陸・上昇:12分、平均35 L/h → 7 L
  • 巡航:75分、平均24 L/h → 30 L
  • 降下・進入・着陸:15分、平均16 L/h → 4 L
  • 着陸後の地上走行:5分、平均12 L/h → 1 L

合計は2+7+30+4+1=44 Lです。着陸時までの計算上の消費は43 Lなので、着陸時残量は57 L、地上走行終了時は56 Lとなります。「どの時点の残量か」を明記すると、計算の食い違いを防げます。

この例には、予測誤差への備え、目的地を変更するための燃料、適用される予備燃料などを設定していません。残量が正の値だからといって、この条件で出発できるとは判断できません。実機の性能値、気象、経路、搭載量の確認も別に必要です。

5.予備燃料を「余った分」にしない

目的地までの予想消費だけを引き、残った量をまとめて「予備」と呼ぶと、何に備えているのかが曖昧になります。学習上は、次の役割を区別すると整理しやすくなります。

  • 予測のずれへの備え:予報と実際の風の違いなど、予期しない変動に対応する考え方。制度によってはcontingency fuelとして区分されます。
  • 目的地変更への備え:代替空港などへ向かうための燃料。適用される計画では、目的地での進入復行から代替空港への上昇・巡航・降下・着陸まで検討します。
  • 所定の予備燃料:適用される基準に従って確保する燃料。通常の目的地までの消費として最初から使い切る前提にはしません。

これらは役割を理解するための整理で、全運航共通の法定分類ではありません。必要量、計算に使う出力や高度、確保する時点は、国・地域、運航方式、機種、運航者の規程などで異なります。予備を一律の「何分」と覚えて別の運航へ当てはめないでください。すでに予想できる遅延も、単に予備に頼らず計画に反映します。

6.航続時間と航続距離を区別する

航続時間(endurance)は「どれだけ長く飛べるか」、航続距離(range)は「どれだけ遠くへ行けるか」です。一定条件なら、対象燃料量÷消費率で時間を、さらにGSを掛けて地上距離を計算できます。

例えば計算対象の燃料が48 L、消費率が24 L/hなら2 hです。GSが100 ktなら200 NM、80 ktなら160 NMとなります。これは一定条件での算数上の値であり、その時間や距離まで実際に飛行してよいという意味ではありません。出発前の燃料総量をそのまま使うのか、確保すべき燃料を除いた量なのかで、答えの意味が変わります。

7.計画値と燃料計を飛行中に照合する

燃料計画は出発前に完成させて終わりではありません。チェックポイントで実際の通過時刻、GS、燃料消費、残量を照合し、その時点から着陸までの見込みを更新します。予定より遅れているなら、その遅れが燃料に与える影響も計算し直します。

よくある誤解は「計算上の残量が十分なら、燃料計の低い表示は無視できる」というものです。初期量から流量を積算して差し引く方式の表示は、タンク内の量を直接測る燃料計とは別です。初期入力の誤りや、計測箇所を通らない漏れなどによって、計算と実際が一致しない可能性があります。

出発前は機体の手順に従って実際の搭載量を確認し、飛行中は燃料計、流量情報、経過時間を相互に確認します。不一致があれば都合のよい数値だけを選ばず、所定の手順で評価します。補給、目的地変更、着陸の判断を燃料が少なくなってから始めないことが重要です。

理解度チェック

  1. 消費率30 L/hで40分飛行した場合の消費量は?
    答え:30×(40÷60)=20 Lです。40分を0.40 hにしないことがポイントです。
  2. 90 NMをGS 90 ktで飛ぶ場合と、GS 60 ktで飛ぶ場合では、消費率が同じならどちらが多く燃料を使う?
    答え:GS 60 ktの場合です。所要時間は1 hから1.5 hとなり、この一定条件では区間消費も1.5倍になります。
  3. 着陸時の予想残量がプラスなら、必要な予備燃料を満たす?
    答え:それだけでは判断できません。適用される予備、代替空港への燃料、計画条件などと照合する必要があります。

燃料計算では「単位」「区間」「残量を評価する時点」をそろえましょう。そのうえで、実測との違いを早く見つけて計画を更新することが、計算問題と実際の燃料管理をつなぎます。

参考資料