METARの読み方入門|文字列を運航イメージに変える
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Q1.METARの風「18012G22KT」はどう読む?
答え:180度から風速12ktで、最大22ktのガスト
風向は風が来る方向です。12KTが風速、G22が最大22ktのガストを示し、差が22ktという意味ではありません。
Q2.雲が「SCT015 BKN030」の例で、シーリングとして確認する層は?
答え:BKN030の3,000ft
この例では、最も低いBKN層の3,000ftを確認します。SCTの低い層があることと、シーリングの定義は区別します。
この2問だけで理解全体や実技能力は判定できません。実際の運航判断には使わず、本文の前提・例外も確認してください。
METAR飛行場で定時に観測した気象を、決められた形式で伝える通報。観測時刻、風、視程、天気、雲、気温、気圧などから、その時点の状態を読み取る。は、飛行場の気象実況を定型形式で伝える航空気象通報です。訓練生が目指したいのは、略号を日本語へ置き換えることだけではありません。観測された風、視程、天気、雲などを一つの状況として組み立て、離着陸や訓練内容にどう影響するかを考えることです。
この記事では、日本でよく見るMETARの基本的な順序と、読み取った情報をフライトのイメージへ変換する手順を整理します。
本記事は学習用の一般的な解説です。実際の運航判断には、最新の気象情報、航空情報、使用機の制限、所属組織の規程および教官・運航管理者の指示を使用してください。
私がMETARを読むときの最初の見方
私はまず、VMCかIMCかを意識して、気象の大まかな見通しを素早くつかむようにしています。最初のイメージとしては「VMCなら天気はまあまあよい、IMCなら悪い」と捉え、そのうえで風速と視程を見て、具体的な気象を思い描くという読み方です。
これは筆者の最初のイメージづくりであり、VMCであれば安全という意味ではありません。VMCの判断には飛行視程や雲からの距離、空域・高度などの条件が関係するため、METARだけで飛行中や経路全体のVMCを確定することはできません。風やその他の危険な気象も別に確認してください。
補足の参考:国土交通省「用語集(IMC・VMC)」、気象庁「航空気象情報」
METARとSPECIの違い
METARは定時に発表される飛行場の実況気象通報です。一方、SPECIは、気象状態に一定の重要な変化があった場合などに発表される特別な実況通報です。
どちらも「観測した時点の実況」を表します。予報であるTAF飛行場とその周辺について、指定された有効期間の気象を予想する通報。風、視程、天気、雲とその変化を、飛行する予定時刻に沿って確認する。とは役割が異なります。METARが良好でも、その状態が訓練時間中ずっと続くとは限りません。TAF、気象レーダー、周辺飛行場の観測、警報・注意報などと組み合わせて確認します。
最初に覚えたい基本の並び
すべての要素が毎回入るわけではありませんが、まず次の順序を押さえると、長い文字列でも現在位置を見失いにくくなります。
- 通報の種類
- 地点略号
- 観測日時
- 風向・風速
- 卓越視程
- 滑走路視距離(必要な場合)
- 現在天気
- 雲量・雲底
- 気温・露点温度
- 気圧
- 補足情報や変化傾向
例題を区切って読む
以下は読み方を説明するための学習用例です。
METAR RJTT 160000Z 18012G22KT 9999 -RA SCT015 BKN030 24/22 Q1008 TEMPO 3000 SHRA
一度に訳そうとせず、グループごとに区切ります。
METAR:定時の飛行場実況気象通報RJTT:地点略号160000Z:16日00時00分UTCの観測18012G22KT:風向180度、風速12ノット、最大22ノットのガスト9999:卓越視程10km以上-RA:弱い雨SCT015:雲量SCT、雲底1,500フィートBKN030:雲量BKN、雲底3,000フィート24/22:気温24℃、露点温度22℃Q1008:QNH空港の気圧から求める高度計の設定値。滑走路上で高度計がその標高を示すように規正するために使う。飛行中の表示が実際の高さと常に一致するとは限らない。 1008hPaTEMPO 3000 SHRA:一時的に視程3,000m、しゅう雨となる見込み
ここまでが「翻訳」です。次に、訓練へ与える影響を考えます。
風は滑走路との関係で考える
18012G22KTを「南から12ノット」と読むだけでは不十分です。使用を想定する滑走路方位と比較し、向かい風、追い風、横風の各成分を考えます。
ガストがある場合は平均風だけで判断せず、最大風速との差、風向変動、使用機や訓練生の制限、教官の方針を確認します。平均風では制限内でも、ガストや横風成分を含めると余裕が小さくなる場合があります。
VRB:風向が変動している00000KT:静穏180V240:風向が180度から240度の範囲で変動
METARの風向は原則として真方位で表されます。滑走路番号など磁方位を基準とする情報と比較するときは、地域や資料の基準を意識してください。
視程は数値と低下原因をセットで見る
9999は「9,999m」ではなく、卓越視程が10km以上であることを表します。視程が短い場合は、数値だけでなく、その原因を現在天気と合わせます。
BR:もやFG:霧RA:雨SHRA:しゅう雨TS:雷電
同じ視程3,000mでも、霧による広い範囲の低下と、しゅう雨による一時的・局地的な低下では、状況の捉え方が異なります。強度を示す-(弱い)や+(強い)も見落とさないようにします。
低視程時にはRVR(滑走路視距離)が通報される場合があります。卓越視程とRVRは同じものではないため、所属組織の運航基準や進入・離陸に関する正式資料に従って扱います。
雲量と雲底からシーリングを確認する
雲のグループは、雲量と雲底高度を組み合わせて読みます。雲底の3桁は100フィート単位です。たとえば015は1,500フィート、030は3,000フィートです。
FEW:1~2オクタSCT:3~4オクタBKN:5~7オクタOVC:8オクタ
一般にBKNまたはOVCの最も低い層などがシーリングの確認対象になります。例題ではBKN030があるため、3,000フィートの層を訓練空域、場周経路、進入方式、地形などとの関係で考えます。
CBやTCUが付く場合は、降水だけでなく、乱気流、雷、突風、急激な風向・風速変化などの可能性にも注意が必要です。
気温と露点温度は「差だけ」で判断しない
24/22では気温と露点温度の差が2℃です。空気が飽和に近い可能性を示す材料ですが、この差だけで霧や低い雲の発生を断定することはできません。
風、降水、地表の湿り、時間帯、雲量、今後の気温変化、周辺観測などを合わせます。特に日没後や明け方は、気温の低下によって差が小さくなる可能性も考えます。
負の値にはMが付きます。たとえばM02/M05は気温マイナス2℃、露点温度マイナス5℃です。
QNHは高度計規正だけで終わらせない
Q1008はQNH 1008hPaです。出発前には最新値を使用し、ATISAutomatic Terminal Information Service。空港周辺の気象や運用に関する情報を、繰り返し放送する仕組み。や管制機関から得た値、計器の指示、標高などとの整合も確認します。
気圧の変化は気象系の移動を考える手掛かりにもなりますが、一つの観測値だけで傾向を断定せず、前後のMETARや天気図、予報と合わせて確認します。
CAVOKを「問題なし」と読み替えない
CAVOKは、定められた視程、重要な雲、現在天気などの条件を満たす場合に使用されます。しかし、「訓練に影響する要素が何もない」という意味ではありません。
風、気温、気圧、滑走路状態、乱気流、空域、機体性能など、METARのCAVOK視程10km以上で、運航上重要な雲や天気現象がないなどの条件を満たすときに使う符号。視程・天気・雲の欄をまとめて表し、風や乱気流などの安全を保証しない。だけでは判断できない項目が残ります。
AUTO・COR・NOSIGにも注目する
AUTO:自動観測による通報COR:訂正された通報NOSIG:所定の時間内に重要な変化が予想されないことを示す変化傾向
自動観測では、人による観測と検出・表現の特性が異なる場合があります。通報の種類と観測方式を認識したうえで利用します。
訓練で使える3段階の読み方
1. 事実を読み取る
最初は略号を順番に展開し、風、視程、天気、雲、気温・露点、気圧を正確に読みます。
2. 制限と余裕を照合する
使用滑走路、訓練科目、機体、訓練生、教官、空域などの条件と照合します。「基準内か」だけでなく「どの程度の余裕があるか」を考えます。
3. 時間変化を考える
一つ前のMETAR、SPECI、TAF、周辺飛行場、レーダー画像などと比較します。実況は一枚の写真であり、フライト中の変化を直接保証するものではありません。
よくある読み違い
9999なら視程に問題はない
10km以上という情報だけでは、局地的な降水や今後の悪化、進路上の状況までは判断できません。
風速が制限以下なら実施できる
横風・追い風成分、ガスト、変動、滑走路状態、訓練内容などを含めた判断が必要です。
気温と露点が近いから必ず霧になる
差は重要な材料ですが、風や地表状態、時間変化などとの組み合わせで考えます。
METARだけで出発可否を決められる
METARは飛行場の実況です。予報、警報、航空情報、機体性能、代替飛行場、訓練計画など、ほかの情報が必要です。
読み終えた後のチェックリスト
- 観測時刻は十分新しいか
- 使用滑走路に対する風成分はどうか
- ガストや風向変動を含めても余裕があるか
- 視程低下の原因は何か
- シーリングは訓練内容や経路にどう影響するか
- 対流性の雲や雷を示す情報はないか
- 気温と露点の関係は今後どう変わりそうか
- 前の観測から改善・悪化しているか
- TAFや周辺観測と整合しているか
- ほかに確認すべき正式情報は何か
まとめ
METARは、文字列を解読した時点がゴールではありません。
- 決まった順序でグループを区切る
- 風は滑走路との関係で考える
- 視程は低下原因と合わせる
- 雲量と雲底から訓練への影響を考える
- 気温・露点は周辺条件と時間変化を含める
- 一つのMETARではなく、前後の観測と予報を比較する
「何と書いてあるか」から一歩進み、「この実況が自分のフライトに何を意味するか」を言葉にすると、ブリーフィングで使える知識へ変わります。
参考資料
最終確認:2026年9月16日。通報式は改正されることがあります。利用時は必ず最新版をご確認ください。
この記事で残った疑問を教えてください
METARの略号の読み方や、読み取った気象情報を訓練の判断につなげるところで迷った点を、一つだけ教えてください。今後の記事や教材の改善に役立てます。