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Q1.一次レーダーと二次レーダーの基本的な違いは?

答え:一次は電波の反射、二次はトランスポンダーの応答を利用する

一次レーダーは、十分な反射があれば応答装置のない機体も探知できます。二次レーダーは機体側の装置が質問に応答する協力型の監視です。

本文で確認:2.二次レーダーは機体へ質問し、応答を受ける

Q2.ADS-B Outを搭載していることから、直接言えるのはどれ?

答え:自機の情報を外へ送る機能がある

Outは送信、Inは受信の機能です。Outの搭載だけで、他機の情報を受信・表示できるとは限りません。

本文で確認:5.ADS-B OutとInを分ける

この2問だけで理解全体や実技能力は判定できません。実際の運航判断には使わず、本文の前提・例外も確認してください。


管制画面や機上の交通表示には航空機の位置や高度が現れますが、すべてが同じ仕組みで測られているわけではありません。地上から反射を測る一次レーダー、機体の応答を使う二次レーダー、機体が自ら位置情報を放送するADS-Bでは、得られる情報と弱点が異なります。

この記事は監視システムの基礎を学ぶ教材です。装備要件、コード設定、運用方法は国・空域・機種で異なります。実際は最新の、承認されたAFM・POH・装置説明書、管制指示、運航者の手順と教官の指導を優先してください。

1.一次レーダーは反射から位置を測る

一次監視レーダー、PSRは、地上から送った電波が航空機などで反射して戻ることを利用します。戻るまでの時間から距離、アンテナの向きなどから方位を得ます。機体に質問へ応答する装置がなくても、十分な反射が得られれば探知できる点が特徴です。

距離の原理だけを考える架空例として、電波の速さを約300,000 km/s、往復時間を200マイクロ秒とします。200マイクロ秒は0.0002秒なので、往復は60 km、片道はその半分の30 kmです。戻る時間を使うため2で割ることが重要です。

この30 kmはレーダーからの斜距離で、地図上の水平距離と同じとは限りません。実際の装置では校正や信号処理も必要です。一次レーダーだけで、機体の登録記号や正確な高度が自動的にすべて分かるわけではありません。小さな反射、地形遮蔽、地面の反射や降水などの影響もあります。

2.二次レーダーは機体へ質問し、応答を受ける

二次監視レーダー、SSRでは、地上の質問装置が信号を送り、機上のトランスポンダーが決められた形式で応答します。一次レーダーのような受動的な反射ではなく、機体が協力して情報を返す監視です。

Mode Aは設定した識別用コード、Mode Cはの報告に関わります。Mode Sは航空機固有のアドレスを用いた選択的な質問・応答などの機能を持ちます。ただしMode S搭載というだけで、すべてのADS-B機能が備わっているとは限りません。

コードは航空機の現在位置そのものではありません。また4桁コードだけが世界中の航空機に永久に一つずつ割り当てられているわけでもありません。管制上の識別、機体の固有アドレス、便名・識別情報を区別します。設定は管制指示や適用手順に従い、思いつきで変更しません。

位置情報はどこで生まれる?
一次レーダー
地上が電波を送信
→ 機体で反射 → 地上
反射の距離・方位を測る
二次レーダー
地上が質問
→ トランスポンダー応答
コード・高度などを得る
ADS-B
機上で位置などを算出
→ 自動的に放送
地上・他機が受信
図1:基本原理の比較。実際の監視画面では複数の情報を統合することがあり、画面の見た目だけで元の情報源は判別できません。

3.報告する気圧高度と操縦席のQNH

トランスポンダーの高度報告は、基本的に標準気圧を基準とした気圧高度です。操縦士が高度計のを変えたら、それと同じ数字がそのまま送られるという仕組みではありません。地上側は必要な処理を行って監視に利用します。

この区別を知らないと、管制から高度の確認を受けたときに、規正値を動かして送信高度を合わせようとしてしまいます。実際には、高度計の表示と規正、報告装置の状態を定められた手順で確認し、異常は正確に伝える必要があります。

高度表示に関する基礎は気圧高度計とQNH、圧力を得る仕組みはピトー静圧系を参照してください。高度データの異常が、アンテナだけでなく空気データ系の問題に関係する可能性も理解できます。

4.ADS-Bは機体側が作った情報を放送する

ADS-BはAutomatic Dependent Surveillance–Broadcastの略です。Automaticは自動的に送ること、Dependentは機上の航法システムなどの情報に依存すること、Surveillanceは監視、Broadcastは適切な受信装置に向けて放送することを表します。

機体はGNSSなどから得た位置、速度、識別情報、高度などを放送し、地上局や他機が受信します。地上の質問が来るたびに初めて返すというSSRの基本動作とは違います。GPS衛星へ自機の位置を報告して、衛星が全機へ配るという意味でもありません。

位置を機上で決めるので、航法情報の精度や完全性が監視にも重要になります。GNSSの精度と完全性で学ぶように、もっともらしい位置が出ることと、その情報を運航に使える品質で得られることは同じではありません。

ADS-Bには気圧高度や幾何高度に関係するデータもあり、どの値が表示に使われるかは装置やシステムによります。「GPSで位置を求めるから、高度も常にGPS高度だけ」とは考えないようにします。

5.ADS-B OutとInを分ける

Outは自機の情報を外へ送る機能、Inは他機の情報などを受け取る機能です。Outが搭載されていても、操縦席で他機の交通情報を表示できるとは限りません。反対に携帯型の受信機で交通情報を見られても、規定のOut装備要件を満たすことにはなりません。

米国では1090ESと978 MHz UATという方式が用いられ、対象空域・高度などに応じた装備要件があります。また米国のFIS-Bによる気象情報配信は978 MHz UATのサービスです。「ADS-B対応なら、どの国でも気象画面が無料で届く」という理解は誤りです。

日本で利用できるサービス、必要な装備、承認条件は日本の公示情報で確認します。外国製のアプリや受信機の機能説明を、国内での管制サービスや搭載要件と同一視しないことが大切です。

6.交通表示の空白は「他機なし」の保証ではない

他機が必要な装置を搭載していない、送信していない、受信範囲外、地形に遮られた、情報品質に問題があるなどの理由で、交通表示へ出ない場合があります。受信機の画面が動いていることだけで、周囲のすべての航空機を監視できているとは言えません。

地上で得た交通情報を機体へ放送する米国のTIS-Bのような仕組みもありますが、元になる監視範囲と配信範囲の両方に制約があります。どこかのレーダーが見ているはずだから必ず自分の表示にも出る、とは限りません。

画面の情報には更新間隔と遅れもあります。架空の他機が120 ktで飛べば、10秒間で120×10÷3,600=約0.33 NM進みます。向きが変われば過去の直線的な予測もずれます。これは実際の表示遅延を一律10秒とする意味ではなく、古い位置を現在の正確な位置と扱わないための例です。

7.交通情報と衝突回避の指示は別

一般的なADS-B交通表示は、周辺の状況認識や他機を目視で見つける助けです。画面の記号だけを見て、独自に急旋回・高度変更を行うための衝突回避指示ではありません。管制との連携、目視見張り、適用される飛行規則を継続します。

TCASなどが出す回避指示には、承認された別の機能と対応手順があります。似た交通記号を使う表示でも、そのシステムが単なる情報提供なのか、正式な回避指示を出す装置なのかを区別します。実機の表示・警報に対する行動は訓練を受けた手順に従います。

また表示の相対高度、上昇・下降の矢印、進路の線には装置ごとの意味があります。進路線を機首方位と取り違えたり、相対高度を地上高と読んだりしないように、説明書で確認します。

8.一つの表示の背後にある依存関係を見る

電子画面が一つにまとまっていても、情報源は独立とは限りません。航法、ADS-B、地図表示が同じ位置源を使っていれば、その位置源の異常が複数の表示に同時に現れます。一方、一次レーダーなど違う原理の監視は別の長所と制約を持ちます。

仕組みを学ぶときは「何が測られているか」「誰がその値を作るか」「届かなければ何が失われるか」を毎回問い直します。機器名を暗記するより、表示に頼ってよい範囲を理解する助けになります。

理解を確かめる3問

Q1.トランスポンダーのない機体を一次レーダーは探知できますか?

十分な反射があり、観測範囲内なら可能です。ただし反射の弱さや遮蔽などで探知できない場合もあります。

Q2.ADS-B Outがあれば、他機の画面も見られますか?

限りません。送るOutと受け取るInは別機能で、表示装置や対応する受信設備も必要です。

Q3.交通画面が空白なら、目視見張りを減らしてよいですか?

いいえ。装備・受信・監視の制約で表示されない他機があり得ます。交通表示は周囲を探す補助として使います。

参考資料

資料確認日:2026年10月20日。本文の図と数値例は学習用に独自作成しています。