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Q1.TAFの「TEMPO 2306/2309 3000 SHRA BR」は、視程3,000mの状態がいつ起こる予報?

答え:23日06時から09時UTCの間に、一時的に起こる

TEMPOは指定期間内の一時的な変動です。その期間中ずっと同じ状態が続く、という意味ではありません。

本文で確認:TEMPOは一時的な変化

Q2.BECMG群で風だけが変更された。変化完了後、ほかに変更がなければ視程・天気・雲はどう読む?

答え:それ以前の予報を引き継ぐ

BECMGで変更された要素を新しい基本状態にし、変更されていない要素は前の予報を引き継ぎます。

本文で確認:BECMGは次の状態への移行

この2問だけで理解全体や実技能力は判定できません。実際の運航判断には使わず、本文の前提・例外も確認してください。


をある時点の「写真」と考えるなら、はこれから先の気象変化を表す「タイムライン」です。

TAFを読めるようになるには、略号を一つずつ日本語に変換するだけでなく、「いつ、どのような変化が起きるのか」を時間の流れに沿って組み立てる必要があります。

この記事では、基礎訓練中のパイロット訓練生に向けて、TAFの基本的な読み方と、フライトのイメージにつなげる手順を解説します。

本記事は航空気象を学ぶための一般的な解説です。実際の運航では、最新の気象情報、航空当局の資料、所属組織の規程及び教官の指示を優先してください。

TAFとは

TAFは「Terminal Aerodrome Forecast」の略で、飛行場とその周辺に予想される気象状態を表した飛行場予報です。

日本の運航用TAFでは、主に次の要素が予報されます。

  • 地上風
  • 卓越視程
  • 天気現象
  • 雲量と雲底高度
  • これらの重要な変化

気象庁では、航空機の運航を支援するTAFを対象空港について1日4回発表しています。状況が大きく変化した場合には、定時の発表以外にも修正された予報が発表されることがあります。

まずはTAF全体を区切る

次のTAFを例に考えてみましょう。

TAF RJFF 230519Z 2306/2412 14006KT 8000 -SHRA FEW015 SCT025 BKN035
TEMPO 2306/2309 3000 SHRA BR
BECMG 2307/2309 28008KT

長い文字列を最初から一気に読もうとすると、どの情報がいつの予報なのか分からなくなります。

まずは次のように区切ります。

TAF
RJFF
230519Z
2306/2412

14006KT
8000
-SHRA
FEW015 SCT025 BKN035

TEMPO 2306/2309
3000 SHRA BR

BECMG 2307/2309
28008KT

「基本となる予報」と、その後に続く「変化の予報」を分けることが最初のポイントです。

ヘッダーを読む

RJFF:対象飛行場

RJFFは福岡空港を表すICAOの4文字地点略号です。

230519Z:発表日時

最初の2桁は日付、続く4桁は時刻です。

23日 05時19分 UTC

日本標準時はUTCより9時間進んでいるため、この例では23日14時19分に相当します。

日付をまたいで日本時間へ変換するときは、日付の取り違えに注意が必要です。

2306/2412:有効期間

23日06時UTCから24日12時UTCまで

これがTAF全体の有効期間です。

日本時間にすると、23日15時から24日21時までとなります。

基本となる予報を読む

14006KT:風

風向140度
風速6ノット

140度の方向から6ノットで吹く風を表します。

滑走路方位と照らし合わせ、向かい風・追い風・横風の成分をイメージすると、予報が実際の運航につながってきます。

8000:卓越視程

卓越視程8,000メートル

TAFの視程はメートルで表されます。

-SHRA:天気現象

弱いしゅう雨

記号を分けると次のようになります。

  • -:弱い
  • SH:しゅう性
  • RA:雨

略号を丸暗記するだけでなく、「強度」「特性」「現象」に分解すると覚えやすくなります。

FEW015 SCT025 BKN035:雲

  • FEW015:雲量1~2オクタス、雲底1,500フィート
  • SCT025:雲量3~4オクタス、雲底2,500フィート
  • BKN035:雲量5~7オクタス、雲底3,500フィート

雲底高度の数字は100フィート単位です。

015なら1,500フィート、035なら3,500フィートと読みます。

TEMPOは一時的な変化

TEMPO 2306/2309 3000 SHRA BR

これは、23日06時から09時UTCの間に、一時的に次の状態になる可能性があるという意味です。

  • 視程3,000メートル
  • しゅう雨
  • もや

TEMPOは、その期間中ずっと状態が悪くなるという意味ではありません。

ICAOの定義では、一回ごとの変化が1時間未満で、合計しても指定期間の半分未満となる一時的な変動に使用されます。

したがって、この例では「06時から09時のどこかで、一時的に視程が3,000メートルまで低下する場面がある」と考えます。

訓練のブリーフィングでは、基本予報だけでなく、TEMPOに含まれる悪い条件も取り出しておくことが重要です。

BECMGは次の状態への移行

BECMG 2307/2309 28008KT

これは、23日07時から09時UTCの間に、風が次の状態へ変化していく予報です。

風向280度
風速8ノット

BECMGは、指定された時間帯の中で気象状態が変わり、その後は変化後の状態が続くと予想される場合に使います。変化は規則的な場合も不規則な場合もあり、「時間帯全体を通して少しずつ変わる」という意味に限定されません。

例えば、この例の07時と09時の中間だからといって、08時の風向・風速を変化前後の値の中間として計算することはできません。変化の時間帯と、その後の予報を分けて読みます。福岡航空地方気象台「飛行場予報」の変化群の説明も、規則的・不規則の両方の変化を含めています。

変化が完了した後は、特に別の変化が示されない限り、新しい状態が基本となります。

この例では、09時UTC以降の風は280度8ノットとしてタイムラインを組み立てます。一方、BECMG群で変更されていない視程・天気・雲などは、それ以前の予報を引き継いで考えます。

FMとPROBも押さえておく

FM:ある時刻から新しい状態

FM231000

これは23日10時00分UTCから、予報が新しい状態へ切り替わることを示します。

FM群では、風・視程・天気・雲を含む新しい基本予報を一組として読むのがポイントです。

PROB30・PROB40:発生確率

PROB30 2312/2316

指定された期間に、その後に記載された状態が発生する確率が30%であることを示します。

確率が低いから無視するのではなく、発生した場合に訓練や運航へどのような影響があるかを考えます。

タイムラインに書き直す

この例のTAFを時間順に整理すると、次のようになります。

23日06時UTCから

  • 風は140度6ノット
  • 視程8キロメートル
  • 弱いしゅう雨
  • 1,500、2,500、3,500フィートに雲層

23日06時から09時UTCのどこか

  • 一時的に視程3キロメートル
  • しゅう雨ともや

23日07時から09時UTCにかけて

  • 風が280度8ノットへ変化

このように書き換えると、単なる暗号だったTAFが「時間とともに天候がどう動くか」という運航イメージに変わります。

到着時刻を重ねる練習:08:30と09:30では何が変わる?

本文のRJFFのTAF例に、架空の到着予定を重ねます。これは福岡航空地方気象台の解説用電文を使う読み取り練習で、現在の福岡空港の予報でも、着陸可否の判定例でもありません。ここでは同じ23日の時刻を使い、電文のUTCと日本時間を並べます。

到着予定と、重なる変化群
架空の予定 UTC 日本時間 考えること
案A 23日08:30 23日17:30 TEMPO 06〜09とBECMG 07〜09の両方の期間内。
案B 23日09:30 23日18:30 上記のTEMPOとBECMGの期間が終了した後。TAF全体の有効期間内。

自分で読み取る3問

  1. 案Aの視程は「8000 m」だけをメモすれば十分ですか。風を280度8 ktと決めてよいでしょうか。
  2. 案Bでは、このTAFの風・視程・天気・雲をどう組み合わせますか。
  3. 案Aから案Bへ到着を遅らせれば、悪天候を避けて確実に着陸できますか。
解答と、時間帯への当てはめ方を見る

1.案Aは基本予報と一時的な変動の両方を読みます。基本は視程8000 m・弱いしゅう雨ですが、06〜09 UTCのTEMPOにより、一時的に視程3000 m・しゅう雨・もやとなる予報も重なっています。08:30に必ず3000 mになるとも、必ず8000 mのままとも言えません。両方を今回の飛行に関係する情報として整理します。

風は140度6 ktから280度8 ktへのBECMGの期間内です。変化が完了する時刻や経過をこの電文だけで特定できないため、「08:30なら変化は完了済み」「変化前後の中間値」と決めません。直近の実況・更新された予報を確認する必要があります。

2.案Bは、変化後の風と、変更されていない要素を組み合わせます。このTAF上では09 UTC以降の風は280度8 kt。視程8000 m、弱いしゅう雨、FEW1500 ft・SCT2500 ft・BKN3500 ftは、それ以前の基本予報から引き継ぎます。このBECMGが変更したのは風であり、すべての天気要素を消して書き直した群ではありません。06〜09 UTCのTEMPOは09:30には重なりません。

3.遅らせれば着陸できる、とは言えません。上の解答は「このTAFに何が書かれているか」の整理です。09:00を境に現実の気象が確実に改善する保証ではありません。最新のMETAR・SPECIや修正TAF、経路の気象、運用条件を再確認し、時間変更に伴う燃料・代替計画も検討します。

記入例は「17:30 JST到着:TEMPOの視程3000 m・しゅう雨・もやを含めて検討。風はBECMG期間内で変化途中の可能性。18:30 JST案:TAF上は280/8 kt、基本の視程・天気・雲を継続。どちらも最新実況と更新予報を確認」です。一つの時刻へ一つの確定した天気を割り当てるより、どの変化群が重なり、何が不確かなのかを残す練習にしてください。

電文と変化群の根拠:福岡航空地方気象台「飛行場予報」。同資料の電文例、BECMG・TEMPO、変更されない要素の継続の説明に基づき、到着時刻と解答を本記事用に作成しています。

訓練前に使える読み方の手順

TAFを読むときは、次の順序がおすすめです。

  1. 対象飛行場を確認する
  2. 発表時刻と有効期間を日本時間に直す
  3. 最初の基本予報を読む
  4. TEMPO・BECMG・FM・PROBを探す
  5. 変化する時間帯を線上に並べる
  6. 自分の離着陸予定時刻を重ねる
  7. その時間帯で最も厳しい条件を確認する
  8. 最新のMETARや他の航空気象情報と比較する

特に大切なのは、TAFだけを単独で見ないことです。

現在のMETARがTAFの想定と合っているか、天気図やレーダー、雲画像などから予報どおりに推移しそうかを考えることで、より実践的な気象判断につながります。

TAFを読むときの注意点

TAFは、示された時刻に天候が機械的に切り替わることを保証するものではありません。

気象現象には空間的・時間的な幅があり、TAFに示される値や変化時刻は、予報期間内に最も起こり得ると予想されたものです。

また、TAFの対象範囲と訓練空域全体の天候は同じではありません。飛行場の予報が良好でも、訓練空域や経路上に雲、降水、乱気流などが存在する可能性があります。

実際の判断では、必ず最新情報を取得し、教官や運航担当者と認識を共有してください。

まとめ

TAFを読むポイントは、略号を日本語へ変換することだけではありません。

  • 最初に有効期間を確認する
  • 基本予報と変化群を分ける
  • TEMPOとBECMGの違いを理解する
  • 予報を時間順に並べる
  • 自分のフライト予定時刻と重ねる
  • 最新のMETARや他の気象情報と比較する

この流れを繰り返すと、TAFを「解読する」段階から、予報を使ってフライトを組み立てる段階へ進めます。

現在の実況を読む練習には、関連記事「METARの読み方入門|文字列を運航イメージに変える」もあわせて活用してください。

参考資料