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Q1.水平飛行・無風で基本的に一致する速度は?

答え:TASとGS

無風なら空気が地面に対して動かないため、TASとGSが一致します。IASは密度や誤差の影響でTASと異なり得ます。

本文で確認:「無風ならIASとGSは同じ」?

Q2.IASからCASへ進むとき、補正するのは主に何?

答え:計器誤差と位置誤差

CASはIASの計器・位置誤差を補正した速度です。その後、圧縮性を補正してEAS、密度を考慮してTASへ進みます。

本文で確認:CASとEAS:TASへ進む前に補正するもの

この2問だけで理解全体や実技能力は判定できません。実際の運航判断には使わず、本文の前提・例外も確認してください。


速度計は100 kt、航法装置の対地速度は120 kt。同じ飛行機なのに、どうして数字が違うのでしょうか。理由は、速度の「基準」が違うからです。IASは計器の指示、TASは周囲の空気に対する速さ、GSは地面に対する速さを表します。

この違いを理解すると、操縦で守る速度と、到着時刻の計算に使う速度を整理できます。ここでは小型飛行機の低速域を中心に、圧力・空気密度・風の順で考えます。

まず覚えたいIAS・TAS・GSの役割

  • IAS(Indicated Airspeed/指示対気速度):対気速度計から読み取る値。機体に定められた操縦速度を確認するときの基本です。
  • TAS(True Airspeed/真対気速度):飛行機が周囲の空気に対して移動する速さ。風を考慮して航法計算を行う際の出発点です。
  • GS(Groundspeed/対地速度):飛行機が地面に対して移動する速さ。区間の所要時間や到着予定時刻に関係します。

ktはノットで、1 ktは1時間に1海里進む速さです。KIAS、KCAS、KTASの先頭のKも、単位がノットであることを示します。「100 kt」とだけ書かれていたら、どの速度なのかを確認する習慣をつけましょう。

IAS:速度計は圧力の差を速度に換えている

一般的な対気速度計は、ピトー管で得た全圧と静圧孔で得た静圧の差を利用します。低速で圧縮性の影響を無視できる範囲では、この差を動圧として扱えます。計器はその圧力差を、標準的な条件に基づいた速度の目盛りに換えて表示しています。

つまり、IASを読むだけでは、実際の空気密度に合わせたTASまでは分かりません。同じTASで飛んでも、空気密度が低ければは小さくなるため、誤差などの条件が同じならIASも小さくなります。

IASが操縦で重要なのは、低速域では翼に働く空気力と結びついた指標になるためです。ただし、離陸・上昇・進入などの目標速度や制限速度は、必ず使用機の承認されたAFM/POHで確認します。表の単位がKIASなのかKCASなのかも見落とせません。FAA PHAK第8章の対気速度計の説明も、この区別の基礎になります。

CASとEAS:TASへ進む前に補正するもの

IASからTASへの関係を丁寧に見ると、途中にCASとEASがあります。

  1. IAS → CAS(較正対気速度):計器誤差と位置誤差など、装備・取り付けによる誤差を補正します。
  2. CAS → EAS(等価対気速度):空気の圧縮性による影響を補正します。
  3. EAS → TAS:実際の空気密度を考慮して、空気に対する移動速度へ換算します。

CASの補正量は機体や速度、などの形態によって変わり、常に「IASに何kt足す」と決められるものではありません。使用機の速度較正表を使います。

小型機の低速域ではCASとEASの差が小さく、学習上は同じと近似できる場面があります。一方、高速・高高度の議論では圧縮性を省略できません。FAAのInstrument Flying Handbook第5章は、この補正を含めて各速度を説明しています。

TAS:同じIASでも、薄い空気では速く進む

動圧は「空気密度 × TASの2乗」に比例します。空気密度が低い場所で同じ動圧を得るには、TASを大きくする必要があります。そのため、IASやCASを一定に保って飛ぶ場合、一般に高度が高く空気密度が低いほど、TASは大きくなります。同じ気圧なら、気温が高い場合も空気密度は低くなります。

ここで大切なのは、「上昇すれば無条件に速くなる」という話ではないことです。比較しているのは、IASやCASを同じに保った場合です。実際にその速度を維持できるかどうかは、機体の性能や出力にも左右されます。

数字で確認:密度が標準海面上の81%なら?

学習用に、IAS=CAS=EAS=90 ktと近似でき、空気密度が標準海面上の0.81倍であると仮定します。計器・位置誤差と圧縮性の影響は、この例では無視します。

TAS=EAS ÷ √(空気密度/標準海面上の空気密度)

したがって、TAS=90 ÷ √0.81=90 ÷ 0.9=100 ktです。速度計の指示が90 ktでも、周囲の空気に対しては100 ktで移動していることになります。この密度比を、ある特定の高度の値と決めつけることはできません。気圧と気温の条件も必要です。

この関係式はFAA公開のAerodynamics for Naval Aviators「Basic Aerodynamics」に示されています。実際の飛行計画では、必要な補正を行った速度、、外気温などを用い、適切な航法計算機や機体資料でTASを求めます。

空気密度が離着陸性能に与える影響は、密度高度と航空機性能で詳しく整理しています。また、TAS計算に使う気圧高度と、設定で読む高度を混同しないよう、高度計のQNH・標準気圧設定も確認しておきましょう。

GS:空気の移動である「風」を加える

飛行機は空気の中を進み、その空気自体も地面に対して動いています。したがって、地面に対する速度は、空気に対する速度と風の速度を向きも含めて合成したものです。

まずは水平飛行で、風が進行方向と完全に一致する単純な場合を考えます。TASを100 ktで一定に保ち、風も一様で一定とします。

  • 無風:GS=100 kt
  • 正面から20 ktの向かい風:GS=100-20=80 kt
  • 真後ろから20 ktの追い風:GS=100+20=120 kt

どのケースもTASは100 ktです。向かい風でGSが80 ktになっても、それだけを理由に空気に対する速さまで80 ktになったわけではありません。

横風がある場合、風速全体をそのまま足したり引いたりはできません。目標の地上航跡を保つための機首方位と、得られるGSを、風の三角形や航法計算機で求めます。この考え方はFAA PHAK第16章「Effect of Wind」で確認できます。

到着時刻に使うのはGS

残り40海里を一定のGSで飛ぶなら、GS 80 ktでは30分、GS 120 ktでは20分です。計算は「距離 ÷ GS × 60」で分に換算します。同じTASでも風によって所要時間が変わり、燃料計画にも影響します。これは区間計算の例であり、上昇・降下、経路変更、必要な予備燃料などは別に考慮します。

混同しやすい3つのポイント

「無風ならIASとGSは同じ」?

水平飛行で無風なら、基本的に同じになるのはTASとGSです。前の密度比0.81の例では、IASが90 kt、TASとGSは100 ktになります。

「GPSのGSが十分なら失速しない」?

GSから失速余裕は判断できません。失速は翼がを超えることで起こり、重量、、機体形態などで失速時の速度も変わります。追い風でGSが大きく表示されていても、安全な対気速度や迎角が保証されるわけではありません。FAA PHAK用語集のStallの項目も、失速はさまざまな速度で起こり得ると説明しています。

「風はIASに関係しない」と覚えてよい?

一様で一定の風の中を安定して飛び、同じ対気速度を維持する比較なら、風の違いは主にGSに表れます。ただし、突風やウインドシアでは、機体と周囲の空気との相対速度が急に変わるため、IASも変化し得ます。定常状態の足し算を、そのまま急変する風の説明に使わないようにしましょう。FAA PHAK第12章「Low-Level Wind Shear」も、風の急変に伴う対気速度の変化を説明しています。

理解度チェック:3問

  1. 水平飛行・無風でIASが90 kt、TASが100 ktなら、GSはいくつでしょうか?
  2. TAS 110 ktを一定に保ち、真後ろから20 ktの風が吹いています。GSと、残り65海里の所要時間はいくつでしょうか?
  3. 計器・位置誤差と圧縮性の影響を無視し、IASを一定に保ちます。空気密度が低くなるとTASはどうなるでしょうか?

答えと考え方

  1. 100 kt。無風・水平飛行ではTASとGSが一致します。
  2. GSは130 kt、所要時間は30分。110+20=130、65 ÷ 130 × 60=30です。速度と風が区間中一定という前提です。
  3. TASは大きくなります。薄い空気で同じ動圧を得るには、空気に対してより速く移動する必要があります。

まとめ:数字を読む前に、何に対する速度か確認する

IASは計器の指示、TASは空気に対する速さ、GSは地面に対する速さです。IASからは誤差・圧縮性・密度を考慮してTASへ進み、水平飛行では風を向きも含めて考慮するとGSが求まります。操縦、性能計算、航法のそれぞれで、資料がどの速度を指定しているかを確かめましょう。

本記事は基礎学習用です。数値例は特定の機体の運用値ではありません。実際の運航では、使用機に適用される承認済みAFM/POH、最新の気象情報、適用規則、訓練機関や教官の手順に従ってください。